トカイナカスタイルの家
都会に近い田舎に建つ家です。
田舎には昔からの営みがあり、心安まる風景や農のある暮らしがあります。
自然素材をふんだんに使って、そんな風景になじみながら、現代の家としての快適な機能性も兼ね備えるというのが、「トカイナカスタイル」の家です。
南側は大きな桜の木がある小さな児童公園に面していて、遠くになだらかな山並みが見える60坪ほどの敷地です。
1階と2階で親世帯と子世帯が住み分ける、2世帯住宅です。
1階部分が杉板張り、2階部分は漆喰塗りの外壁と、南側に深めの軒を出した緩い片流れの大屋根という、シンプルな外観です。
最初のご相談は、「限られた予算で、両親と一緒に快適に暮らせる二世帯住宅をつくれますか?」というものでした。
私が相談をお受けする以前にハウスメーカーにも相談されていて、「そちらで提案されたプランに馴染めない上、コスト的にも予算内に収まるかどうかが不安です。」ということでした。
「予算的には余裕はないけれど、なるべく無垢の木などの自然素材で家をつくりたい。」というご希望もありました。
家づくりにかかるコストについて、わかりやすくご説明しました。
とりわけ工務店の選び方はとても大事で、工事の質やコストにも大きく影響することをお話ししました。
設計の過程やプラン、材料選びなど、一つ一つの事柄について納得いただきながら先に進めるという方針に共感をいただきました。
自然素材を用いての家づくりは、私の家づくりのポリシーでもあるので、その点もご依頼をいただいた大きな要素だったと思います。
コストについては、材料や使用する機器をできるだけ産地やメーカーから直接購入する方法や、工事費がご予算に収まらない場合は、設備工事などを分離発注にするなどの選択肢もお示ししました。
ご予算が大変厳しいことから、建物の形状を単純な箱型に片流れの大屋根を載せるというシンプルなデザインにしています。
1階部分は、京都府産の杉板にベンガラ塗装、2階部分は漆喰塗です。
1階、2階の両世帯とも、南側の公園にある桜でお花見ができるようにリビングを配置して、大きなテラス戸を設けています。
室内の床、天井にも京都府産の杉材、壁には珪藻土塗壁を採用しています。
コストを抑えるために、外壁杉板の塗装は、お客様が家族全員でベンガラ塗装をされ、室内の床も植物系ワックスをセルフで塗装されました。
「冬場は十分な採光と断熱効果で暖かく、夏は心地よく風の通る快適な家です。希望通りのコストで、京都府産木材の利用に対する補助金もいただけて、一人増えて5人になった家族が、両親とともに楽しく暮らせる家に、とても満足しています。」という感想をいただきました。
シンボルツリーのある玄関ポーチ。
左側のドアが子世帯、右側のドアが親世帯の玄関です。
夜はライトアップして、家族の帰りを温かく迎えます。
玄関ポーチにあるモミジの木の上部は吹抜になっていて、自然光や雨が降り注ぎます。
南側の小さな公園からの外観。
春には家の中からお花見ができます。
2階子世帯のリビングルーム。
キッチンカウンターの隣にダイニングテーブルを連続させたレイアウトになっています。
「子どもが食卓で勉強するのを、食事を作りながら見たい。」というご要望によるものです。
リビングには南側と東側に連続したベランダを設けて、子どもたちが安全に、自由に遊べるようになっています。
将来子どもが大きくなったら、中央で仕切ることができる子ども部屋です。
8帖のサイズです。
リビングからはしごで上った上には、納戸スペースが3部屋あり、十分な収納量を確保しています。
玄関ポーチ上部のライトコートに面して窓を設けた浴室。
床と腰壁は大判の磁器タイル、壁と天井は京都府産の杉板に植物系のワックスを塗っています。
1階、ご両親のリビングルーム。
公園に面した南側には大きな窓、東側にはお父様のご希望による、外仕事のための屋根付きテラスを設けています。